人生とは・・・死ぬまでの暇つぶし・・・とか悟っちゃったりなんかしたりして。
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宮崎駿監督(以下、ハヤオ監督)がディープなミリタリーオタクであることは、今や周知の事実なのでしょうか。
ハヤオ監督が、個人的趣味丸出しの映画を作ることは、紅の豚以来のことだと思いますので
最近のジブリアニメはなぁ、、、(=_=;
と思っていたあたしも久しぶりに劇場で観てきました。
これから観るヒトもたくさんいると思うので、核心ネタバレは無しでいきます。
でも、この映画、どこが核心なのかというと、これまた色々と難しいのですがw
原作は未読なあたしですが、雑想ノート的なノリで描かれたマンガだろうと確信的な推測をしています。
※原作を読みたいのですが、単行本化されていないのですよネ、、、。大してページ数もないと思うので、雑想ノート同様、大判の薄い本で発売するのがやっとのような気もしますが、MGさん、どうなんでしょう??
タブン、すごい小さいコマに
軍人A「20ミリだ、20ミリを載せろ! 載せるぞ! 止めるな!」
三菱社員A「エー! マジカヨー!」
三菱社員B「重量が・・・」
堀越(※背景に「不屈!」とか描いてある)「エー、じゃあ肉抜き穴の径の種類を増やして、強度計算を密にして・・・」
三菱社員C「穴開けまくれってサ、トホー」
ナレーション「これがアトアト、オオゴトになるノダ」
とか、すごいゴミゴミと描かれていそうなヨカン・・・!
エンエンとメカのウンチクが続くので、気晴らし程度のロマンスにちょっと描き込んだ女の子が、結核という程度なんじゃないかなーと思ったりしたのでした。
さて、実際に映画を観てみると、
飛行機が出てくるシーンは意外に少ない!
と感じました。
ちょろちょろとこまめに出るのですが、どれもあっさりとした描かれ方なので、あまりインパクトがありません。
堀越技師というと、日本人なら知らぬものはいないアレの設計者なのですが、アレの登場シーンは驚くほど少ないので、マニアほど衝撃は大きいかもしれませんw
ただ、登場シーンは短いものの、七試艦上戦闘機、九試単座戦闘機がアニメ化されたのは、本作ならではの快挙でしょう。観客のどれだけのヒトがそれに気づいたかどうかはともかくとしてw
また、ユンカースのG38にかなりセルを使っていることも素晴らしいですし、いかにもハヤオ監督らしいと思いました。
※ハヤオ監督は、ドイツ機の中ではユンカースがかなりお気に入りなのではないかと思いますネ。
格納庫を開けたときの、ズバーーーン!!という登場シーンといい、本作の中でも一際、愛が感じられる演出でございました。
尚、本作のサウンドエフェクトに関して、ハヤオ監督の希望で、全て人間の声を加工して音を作ったそうなのですが、個人的にはあまり好きになれませんでした。
ジブリらしい音にはなっていると思うのですが、エンジンの音とかは、やはり本物のレシプロエンジンにしてほしかったですネー。
※紅の豚を作った時、わざわざ欧州までいってクラシック機のエンジン音の録音をしたものの、イメージに合わずにほとんど使わなかったということがあったそうなので、そのせいかもしれませんが。
意図的な演出のようにも感じましたが―――、いくつかのシーンで効果音が、いかにも人間の声丸出しの部分があって、なんとも気持ち悪く感じたりもしました。
肝心のストーリー展開ですが、、、あたしはあまり感心しなかったのですよネ、、、。
ヒロインに、過去のハヤオ作品のようなバイタリティを感じられなかったところが大きい気がします。
ハヤオ作品では珍しく、異性に対する愛にオノレの生命力を全てつぎ込んでしまうタイプのヒロインなのですが、主人公がヒコーキオタクくんなので、マイペースすぎる愛の応じ方に終始されたままで退場せざるを得ない、という大変に可哀想なヒトです。
確かに泣けるのですが、可哀想すぎてもらい泣きしてしまう感じで、感動!というのとは違う感じですネー、、、。
正直、あたしはこういう「精いっぱいの生き方」は、ノーサンキューという感じです(^^;
実際、オノレが不治の病に犯されていて、痩せ衰えた姿を見せたくない一心で、残り少ない時間を無理を重ねて愛するヒトの傍にいる、という女性が、あのような生活をしていられるのだろうか、と思いますネ。
『カリオストロの城』のクラリスのような、おじ様方の願望が先走ったヒロインくささを感じてしまったのはあたしだけでしょうか。
あたしがヒロインの立場だったら、堀越くんの設計した飛行機で一緒に空を飛びたい!と死ぬまでダダをコネるはずなのですがw
※あたしの個人的意見ですが、やはりヒロインは堀越くんと一緒に空を飛ぶべきだったと思います!
主人公の堀越くんは、いわゆるクレバーなヒコーキバカとして描かれるのですが、声にオタク四天王といわれた庵野監督を採用したあたり、ハヤオ監督の堀越像が透けて見える気がします。
ヒコーキとの恋愛は超絶技巧派なのに、生身の女との恋愛はまっすぐだけど稚拙丸出しという世間知らず感が、庵野監督とマッチすると考えたのでしょうか。
※更に深読みすると、庵野監督のそういうムードに、ハヤオ監督は自分自身を重ねているような気も・・・。
そういう点で、本作で描かれている恋愛は、女の子との恋愛経験がUFO体験並みに乏しいオタクくんが、おおよそ想像で描ききった悲恋という感じですネー。
でも、さすが腐ってもジブリ、、、。絵のうまさと迫力で、脚本のプアーさを力技でねじ伏せてます。
特に、心象描写として、存在しないはずの風や空気がざわめく感じを髪の毛がウネウネと動く演出で表現しているところは、ある種、アニメの表現の極致では?と思いました。
さて、いつの間にか文句ばかり書いている気がするのですが、あたしがこの映画で感動したポイントをいくつか、、、。
まず、若々しく野蛮、そして未熟、、、しかし生命力にあふれている戦前の日本の姿が描かれているところでしょうか。
トラブル頻発の不完全な機体とエンジンでありながら、あくまで国産機を志向する技術者や軍人達、、、(※外国製兵器に頼りきりでは真の国防とはいえませんよネ)。
そして、更に空母などという未知の大規模兵器システムに挑む姿が、短い尺ですが登場します。
安全第一などという信条では、到底無理なことに危険を承知でぶつかっていく姿に、現代日本では失われてしまった『野蛮さ』を感じ、つい目頭が熱くなってしまいました。
また脇役が印象的でしたネ。
「(この社会は)矛盾だらけだ・・・!」と呟きつつ、しゃにむに飛行機設計に打ち込む本庄技師や、軍の要求に応えうる飛行機開発を目指して、主人公を技師として鍛えつつ、設計チームを引っ張る黒川技師など、堂々たるナイスガイ達で、正直、あたしは堀越くんよりカッコいいなぁと思いました。
そして、、、大部分の観客が、
誰?このおっさん・・・
と思ったであろう、カプロニさん。
このカプロニさん、本来、この作品には全く不要な存在だと思うのですが、ハヤオ監督の個人的な必要によって登場しているのではないかと思いますネ。
ナウシカ、ラピュタ、紅の豚、、、ハヤオ監督の作品では、なんかあんまりうまく飛びそうにない感じのメカが、実に美しく空を飛びます。
本当ならば、本作でも堀越くんが設計した飛行機は、同様に美しく飛ばなければならないはずなのですが、過去の戦争で実際に使用された戦闘機をそのようにアニメ化することにためらってしまったのでしょうネ。
だけど、やっぱり飛行機が描きたい!
というフラストレーションのはけ口が、カプロニさんが登場する理由なのだと思います。
カプロニが設計した飛行機たちは、いかにもハヤオ監督が好みそうなスタイルです。
劇中でも3連三葉のカプロニCa.60なんてオバケまで現れて、見事に離陸失敗するわけですが、タブン、この飛行機がアニメ化されたのも世界初でしょう(^^;
そんなにもジブリ作品に軍用機を描きたくないのなら、この題材を選んだのは失敗だったんじゃないかと思いますネ。
鈴木プロデューサーに「反戦家なのにミリタリーマニア、という矛盾に結論を出すべきだ」とか言われたことが本作のきっかけ、という話をどこかの報道で読みましたが、本当なのでしょうか。
「反戦家なのにミリタリーマニアなのは矛盾している」という時点で、あたし的には???という感じです。
ミリタリーマニアは戦争大好きで、戦争したくしてしたくてウズウズしている人たちならば矛盾しない、ということなのでしょうか?
とてもこんなアホな指摘を真に受けるハヤオ監督とは思えないので、報道が事実ならば、真に受けたフリをしてオノレの趣味映画を一本作っちゃっただけなんじゃないの?wと思いました。
さて、そろそろあたしなりの結論を出しましょうか(^^;
本作は、ジブリ作品としては駄作だと思います。
主人公とヒロインの存在感が弱いし、描き方もハヤオ監督の独りよがりだと思います。
この独りよがりくささは作品全体から感じられ、泣けるシーンは色々ありますが、本当の感動とは違う鑑賞感です。
でも、作品から透けて見えるハヤオ監督の内面は他の作品を圧倒していますネ。
そういう意味では、監督・ハヤオではなく、人間・ハヤオをよく語ってくれる映画であり、ハヤオ監督本人を知るにはよい映画だと思います。
そろそろジブリは、ハヤオ監督にばかり重荷を背負わせないで、若手監督たちが従来のジブリらしさを継承した作品を世に出すべき時が切実に迫ってきたと感じました。
本作は、無名のアニメ作家・宮崎グズオが世間のごく一部でしかないミリオタ達を対象にして製作されていれば、もっと題材を生かしたのびのびとした良作になったと思いますヨ。
ちなみに・・・
スタジオジブリ内で行なわれた本作の初回試写会には、堀越技師の実子がゲスト招待されたらしいのですが、名前が同じというだけの父親とはまるで別人が、これまたあずかり知らぬ架空の女性とのロマンスを繰り広げる映画を観せられても、さぞかし居心地が悪かったんじゃなかろうかと思いました。いえ、ホントに(^^;
そして、最後に・・・
公開直前、ハヤオ監督は様々なTV局のインタビューを受けていましたが、某NHKなど複数のメディアで、映画を観てもいないインタヴュアーが
「なぜ零戦の開発者という、戦争を賛美するような題材を選んだのですか?」
と質問をしているのを目にしました。
上述の鈴木プロデューサーの「反戦家とミリタリーマニアは矛盾」という発言と共に、戦争や兵器、及びそれにかかわった人物に関心があること自体が悪と言わんばかりの態度は、物事を直視しようとしない極めて有害な思考だと思いますネ。
ハヤオ監督がミリタリーマニアである故に、反戦家になったことは疑いようにないと思うのですが。
こういう無知かつ短絡的、そして偽善の『平和思想』とやらは、唾棄すべきものとあたしは信じます。ハヤオ監督もこういう輩には、断固、反論していただきたいですネ。
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小さいときから本と映像作品の虫。徹底的インドア派。
今も映画・アニメ・マンガ・PCは大好き。歴史・SF・メカ・生物・ミリタリーなど全般に光速の食いつきをみせる。
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