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人生とは・・・死ぬまでの暇つぶし・・・とか悟っちゃったりなんかしたりして。

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のぼうの城、みてきました

先日観た「天地明察」同様、数年前に発表された歴史小説の映画化です。
原作本はコチラ

題材である忍城篭城戦は、あたしは高校生のときにとある本を読んで興味を持ち、以後、ずっとあたしなりのイメージを温めてきたものでしたので、けっこう楽しみにして公開日を待っていたのでした。
※↓公式サイトはコチラ。
http://nobou-movie.jp/

結論から言うと、結構面白い映画でした。
尺の割合で言うと合戦シーンも少なめ、過剰な流血シーンもあまりなく、そういうのが苦手なヒトもあまり嫌な思いをせずに観られます。
2時間30分以上という長めの映画なのですが、上映時間をあまり気にせずに観ることができました。
・・・ですが、ツッコミどころも満載な感じ(^^;
思い入れがあるだけに辛口になってしまいますので、あらかじめよろしくです。
毎回ですが、今回もネタバレ全開でいきますので、これから観る予定があるヒトは、「・・・つづきはこちら」のクリック回避でお願いしますネ。

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本作ですが、本格的な戦国合戦映画を期待すると、ガッカリすることになるので注意が必要です。ホームドラマっぽい「軽さ」が全編に流れているため、これをどう感じるかが重要ですネー。

歴史を題材にした映画は、客観資料とフィクションのサジ加減に制作の妙があると思うのですが、本作のようなマイナーな題材の場合、万人に受け入れられる加減を推し量るところが難しいですネ。
忍城篭城戦は、当時の客観資料が非常に乏しく、現在知られている「事実」の出典はほとんど江戸時代の軍記物です。
本作では、どちらかというと客観資料に重心を傾け、ところどころの設定を軍記物から取り込んで物語を構築しているとように感じました。
・・・となると、客観資料と軍記物の部分拝借では、埋めることができない「広大な面積」を想像力で補う必要があるのですが、この点にあたしは不満を感じました。

この映画のカタルシスは、勇敢な大将がいるわけでもない小勢が、多勢を向こうに回して奮戦する、というところにあります。
まともな組織では規格外すぎて使い物にならないような人材が、大将「実質」不在のため、結果的に「放し飼い」になって動き出した結果、奇跡のコラボが起きて思わぬ大仕事ができてしまった! という映画をあたしは観たかったのですが・・・あたしの期待が高すぎたようです(^^;

というわけでさっそくダメだしなのですが、、、この映画のキャッチコピー
この男の奇策、とんでもないッ!
とはいうものの、主人公、成田長親は、奇策といえることは特にしていませんw
後先考えない、無謀な行動ばかりですw
豊臣方の使者の態度が傲慢だからという理由で、開城→篭城への急旋回。・・・※好いていた甲斐姫を差し出せと言われた、という伏線がありますが、この伏線をうまく使えないまま終了orz
水攻めを突破するために、あえて敵陣の前で田楽踊りをして狙撃される。・・・※奇策といえば奇策、、、と言えないこともないのですが、後述しますが説得力に乏しすぎて、あたしには無謀としか感じられないですネ(^^;
主演の野村萬斎さんも困ったのではないでしょうか。この成田長親が宇宙人すぎて、、w

成田長親がこれだけ宇宙人だと、部下もそれに負けない個性が必要なのですが、そういうキャラがあまりいないために、いわゆる「血湧き肉おどる」展開にならずに、何か冷めた雰囲気が終始漂います。
豊臣方の寄せ手が城に押し寄せるシーンは、もっとテンションを盛り上げて描いてほしかったのですが、ぐっさん演じる和泉守と成宮くん演じる酒巻がコントみたいなやり取りを繰り広げるシーンの尺が長すぎて、えー、、、と失笑気味になってしまいました。
和泉守は、敵の侍を串刺しにしたまま槍を振り回すというトンデモシーンがありますがw、ただの合戦コントの絵面にしかなってないしw
これがハリウッドならば、目を背けたくなるくらいリアルでスプラッタなシーンにして、観客の度肝を抜くでしょうが。

特に残念なのが、甲斐姫の扱いですネ。
江戸時代の軍記物では、甲斐姫は騎馬武者を率いて城から打って出て、敵の侍大将を何人も討ち取る女ターミネーターみたいに描かれているのですが、
さすがにそりゃないわー
と思ったのか、本作では、甲斐姫は腕っ節が強く勝気な性格なものの、戦場には出ないお姫様として描かれます。
でもネ、あたしとしては、
そういう甲斐姫のほうが引くわー
と思いました。

映画としても、甲斐姫をそういう戦闘力があるキャラとして設定したのならば、戦いに参加させるべきだったとあたしは思いますネ。
戦艦大和を作っておきながら、出撃させないで港で大切に保管しているような感じで、すごくもったいない。
武術に心得があり、性格も男勝りという甲斐姫の性格ならば、戦で猫の手でも借りたい時期に城に引きこもっていられないはずですし、ましてオノレを秀吉の側室に差し出せなんて言われたら、
「むざむざサルの妾になるくらいなら、戦場で討ち死にするが本望!」
と逆にファイトを燃やす方が自然だなぁとあたしは思いますネ。

当時の戦場は「男だけの世界」なので、そこに女性が入ってくるといろいろと不都合があるものです。
特に敵からすると非常にやりにくかったと思いますネ。
女を討ち取っても逆にその武将の名声に傷がつきますものネ。「女殺し」とか陰口たたかれるようになるのは分かりきってます(^^;
逆に不覚を取って手傷を負ったりしようものなら、末代までの恥。
つまりはそもそも戦うこと自体を避けたいと思うのが、まともな武将の考えだったでしょう。
また、女性は戦場のルールや男性の美学に無頓着ですから、とにかく勝てばOK的な野蛮さで戦をいどむので、危なかしくて目を離せないというところもありますネ。※ジャンヌ・ダルクなんかはまさにこの手合いですネw
たとえ、味方であっても「女に助けられた」などと言われたのでは、これまた侍の面子丸つぶれなので、甲斐姫の参戦は戦の流れを変える大きな起爆剤になったはずです。

職場でもありますよネ。
なんとなーく惰性でタラタラ仕事していた男性ばかりの部署に、すごく元気のいい女子が一人配属されてきて猛然と仕事を始めたら、慌てて男性も目の色変えて働き出す、、、とかいう話。

軍記物では、豊臣方に援軍でやってきた真田雪村と甲斐姫が一騎打ちをするシーンがあったりしますが、映像化してほしかった、、。
女と知らずに槍あわせをしてしまい、甲斐姫の兜を叩き落して初めてその正体に気づくや、「これにて御免」とすぐに引き揚げてしまう雪村の処し方の鮮やかさ・・・フィクションでしょうけれどカッコよすぎ (*´д`*) ハァハァ

映画の見どころとして、やっぱり甲斐姫の騎馬武者っぷりは外せなかったとあたしは激しく思うのですヨ!

また、映画のもう一つの見どころは、水攻めにされた忍城がそれを打ち破るシーン、、、すなわち石田堤の決壊シーンなのですが、もう少し、ハラハラできる演出がほしかったですネ。
映画では、成田長親が堤防の前まで船でやってきて、田楽踊りという奇行をして、鉄砲衆に狙撃されて死にかかるも、、、
「ワシが狙撃されれば、堤の外にいる民衆が蜂起してくれるはず」 ※劇中にて談・成田長親
といって、実際、そう展開するのですが、それはちょっとネー、、、(^^;

軍記物では、石田堤の建設に動員された近隣の百姓たちは、手抜き工事をしたうえに工賃を金銀ではなく米でもらうことで、豊臣方の兵糧米を減らす工作をしたとされています。※もらった米を忍城に運んで、篭城用の備蓄米にするというオチまでついていることもw
ここまでやると出来すぎな話のような気もしますが、こういう戦の仕方は孫子六韜にもある、まさに模範解答のような戦いの仕方で、成田軍には兵法に通じたヒト(※イメージとしては理論先行で実際の戦の経験に乏しい感じ)がいたのではないか、という妄想が膨らみますネー^^

さすがにここまで計算ずくで堤防を作らせたとなるとややウソっぽいかもしれませんが、、、百姓たちが自分の土地を沈めるような堤防の建設に一生懸命になるわけがない、という成田長親の読みと手抜き工事をもっとはっきりと映画で打ち出すと、もっと盛り上がる演出ができたのではないかと、あたしは残念ですネ ^^;
成田長親の田楽踊りを面白がって、豊臣方の兵士たちが堤防の上に寄ってたかって一緒に田楽踊りする場面がありますが、話の盛り上がり上、堤防決壊と一続きのシーンであってほしかったです。
たとえば、、、手抜き工事で盛り土の底部に水が浸みている堤防に大勢のヒトが乗って、いっせいに足を踏み鳴らしたために「液状化」発生→堤防決壊とか、堤防の周りに集まった見物の兵士にまぎれて、豊臣方の扮装をした決死隊が堤防の破壊工作→堤防決壊とか、いくつかアイディアはありそうなものですが、わざわざ地味で説得力に欠ける決壊のさせ方をしたなぁとあたしは思いました。
※客観資料に近いといえば近いのですが。

はい、なんだかどんどん妄想スイッチが入ってしまって映画の感想からどんどん遠ざかってしまいますネ(^^;

さて、豊臣方についてですが、あたしは石田三成という武将がけっこう好きなのです。
この映画では、妙に戦や侍の美学に陶酔するピュアすぎる武将として描かれているのですが、そういうところも含めて好きなのです。
三成の旗印「大一大万大吉」も「一人が万民のため、万民が一人のために働くという世の中になれば、すべての人に太平の世が訪れる」という意味とされていて、なんだか理想主義の三成にぴったりですネ。
映画でも「大一大万大吉」の旗が戦場を埋め尽くすのを観て、一人テンションが上がっていたあたしなのでした。

でも三成だけでは、文弱エリート臭が強すぎるので、もうちょっと骨太な武将がほしい、ということで本作では大谷吉継にスポットを当てていますが、見せ方が弱いような、、、。
大谷吉継は戦国時代に興味があるヒトなら誰でも知っている名将ですが、一般にはさほど知名度がある武将ではないですネ。
映画では、石田三成、大谷吉継、長束正家の3人だけで軍勢を掌握していたように見えますが、実は違うのです。
豊臣軍を構成した武将たちを列記すると、大谷吉継、長束正家、北条氏勝、佐竹義宣、多賀谷重経、真田昌幸(with雪村)となるわけですが、三成に負けない知名度となると真田父子しかいないなぁと思うわけで、物語のクライマックスを飾るとすれば、やっぱり真田父子に登場してほしかったと思います。
大谷吉継にダメだししてるみたいですが、これは見せ方に苦言を呈しているだけで、あたしは本当は大谷吉継も好きなんですヨ、マジで^^ 史実の大谷吉継は、三成とは違って骨の髄まで侍だなぁとあたしは思うのでした。

あと、細かいところですが、登場人物がみな現代語を喋っているというのは、あたし的にはちょっと興ざめでした。時代劇をあまり観ないヒトにとっては、むしろ長所ともいえるのかもですが、やっぱりそれ相応の喋り方にしてほしかったです。

最後に、本作は一歩間違えば、駄作まっしぐらになる危険があったとあたしは思いますが、危ういところで踏みとどまって、「わりと観れる」映画になっています。
その最大の功労者は、主演の野村萬斎さんではないでしょうか。
萬斎さん演じる成田長親の「すっとぼけ←→マジメ」のリレースイッチみたいな切り替え方が、観ていて妙に気持ちいい絵となっています。
また、戦を決断した長親が、城内に領民たちを集め、
「みんな、ごめーーーーん!!」 (マジでこんな感じw)
と泣き崩れながら謝るシーンは、萬斎さんのなかなかの見せ所で、不覚にもあたしは涙してしまいました。

本作は、萬斎さんあってこその映画なので、戦国に興味はないけど萬斎様好きだから観にいくワ!というおば様達にも、おススメできる映画ですネ。
戦国時代に興味がないヒトでも、テレビドラマのように肩肘張らずに観られる気軽さで楽しめるw
戦国時代に興味があるヒトは、観た後、ツッコミどころをいろいろ突き回して、オレ様が考える戦国論を何丁でもブてるw
という意味では、案外、おいしいポジションに収まった映画なのかもしれません。

あたしなりの結論・・・面白いけれども観終わった後、意外に何も残らない映画。関心を持ったヒトは、関連書籍等で更に勉強してくださいw 萬斎さんの演技が楽しいため、女性でも楽しめる。デート映画にしてもアリ。
でも戦国オタクくんや歴女は、観終わった後のオタトークで相手を引かすことがないよう注意めされい!w

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自己紹介:
生まれは北海道。親の転勤によって道内のほか、東京、千葉のあちこちを引越ししたため、「故郷」という感覚が希薄な根無し草人生。現在は神奈川在住。
小さいときから本と映像作品の虫。徹底的インドア派。
今も映画・アニメ・マンガ・PCは大好き。歴史・SF・メカ・生物・ミリタリーなど全般に光速の食いつきをみせる。

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