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人生とは・・・死ぬまでの暇つぶし・・・とか悟っちゃったりなんかしたりして。

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布教活動~シュトヘル
皆さん、こんにちは。
今回はマンガの紹介です。
s20.jpgシュトヘル / 伊藤 悠(著)

伊藤 悠先生といえば、
皇国の守護者
のコミカライズで一世を風靡したマンガ家なわけですが、あたし自身はこのマンガは未読。
マンガ仲間からは意外と言われますが、、、
仮想戦記モノって、軍事考証が不十分だったりすると途端に醒めてしまうあたしにとっては鬼門であることが多かったりとか、、、超能力者まででてくるとなるともう、、、とか、話が未完が終わるとか、いろいろあって結局、未読のまま放置されてしまったのですよネ、、、。

「皇国の守護者」は、マンガそのものの完成度の高さでかなり評判がよかったようなのですが、出版社と原作者のトラブル?で5巻で打ち切りになったり、、、あたしにとって製作者側のゴタゴタが作品そのものよりも強烈な印象を残した作品です。
そんな伊藤 悠先生の現在連載中の作品が、この「シュトヘル」です。

2009年春からの連載作品なので、もう4年目に突入という長編マンガですネ。
連載開始しばらくは、「皇国の守護者」のように未完で打ち切りになるのでは・・・?と読者を不安にさせたようですが、約半年に一冊というペースで単行本を出し続け、ついに最新巻は7巻に到達。
読者も皇国の守護者トラウマから開放されつつあるようです(^^

拍手[8回]


    いろんな要素が詰め込まれていて、さらりと読むことが難しい作品ですネ。
s02.jpg
見知らぬ世界の戦争の夢に悩まされる、現代の日本の高校生、スドーくん。
作中では全く説明されませんが、まともに学校に通っていない雰囲気のちょっと引きこもり風味のやさ男くんです。
楽器製作の職人の息子らしく、学校には行かなくても、自宅の工房で趣味の楽器をちょっぴりずつ作る日々。
s03.jpgそこへ現れた転校生スズキさん。謎の帰国子女です。
スドーくんの写メを見ただけで、彼に会うためコンパに参加してきた”キモい子”。



コンパ終了後、無言でそのままスドーくんの自宅にまでついてきてしまう彼女に、当惑するスドーくん。
しかし、彼女を自宅の工房に招きいれたことにより、この物語は動き出します。
s04.jpg
スズキさんとの接触により、突然、夢で見た世界に放り出されるスドーくん。
嵐の夜の処刑場で、彼は、女性の姿で目覚めるのでした。



そして、彼(彼女?)を「シュトヘル」と呼ぶ、スズキさんの面影を残す少年、ユルール。
s05.jpg






















s19.jpg
ユルールの導きでからくも処刑場から脱出したスドーくん。
身を隠した天幕の中で、ユルールからこの世界とシュトヘルの物語を聴かされるのでした。

・・・
・・


とにかく、第1話からハイスピード展開(^^;
タイムスリップ、スドーくん()→シュトヘル()/スズキさん()→ユルール()というTSシチュエーション、、、週刊誌の不定期連載(※途中から月刊誌に移動)で読み飛ばしていたヒトには、展開を正確に把握するのも難しかったのではないでしょうか。

s08.jpgそして、第2話では、シュトヘルは西夏の女戦士、ユルールは西夏北辺の遊牧民族・ツォグ族の皇子であることが明かされます。

西夏の霊州守備隊の一兵士であった「雀(ウィソ)」が「悪霊(シュトヘル)」に変貌する過程は、血なまぐさいシーンの連続の中で、有無を言わさぬドトーの展開で説明されます。
s09.jpg

少々、雑にも感じる絵柄ですが、勢いのあるタッチで、砂っぽい戦場の雰囲気がよく伝わってきます。
s10.jpg



←まだ可愛らしさが残る「雀(ウィソ)」のカット。
こんな表情を見せるのはこの話だけですヨ。



s11.jpg
硬質っぽい線で、表情も歪みまくりなのですが、これは描き手がノリにノった結果の「良い歪み方」ですネ。
普通、話数を重ねていく過程で、キャラがこういう歪み方してくるということはしばしばありますが、この作品は、いきなりこういう歪み方をしてくるところがユニークと個人的に感じました。
s12.jpg



人体破壊シーンや死骸の描きこみなど、伊藤先生の独特のタッチとあいあまって、いっそう容赦ない感じに仕上がっています。
※あたし、結果的にこういうの作風の作品、なにげに好きだなァ、、、orz ホラー映画苦手なのに観にいってしまうヒトと同じ嗜好だと思いますが。

s13.jpg伊藤先生は、あとがきで「雀(ウィソ)」を
けなげなドジっ娘
と評していますが、首都まで退却して軍団に復帰するように指示を受けているにもかかわらず、遺体の埋葬もせずに狼の群れを相手に無駄な殺生を繰り返している「雀(ウィソ)」は、確かにダメな兵士ですネ(^^;
なぜ彼女が兵士になったのか分かりませんが、隊の落ちこぼれだったのも頷ける行動です。
しかし、その頑迷一徹な行動が、彼女を人外のものとの邂逅に導くのでした。
s14.jpg
そして、大狼との決闘を経て、ついにモンゴルへの復讐の鬼である「悪霊(シュトヘル)」の魂が彼女に吹き込まれます。
s15.jpg





うっかり架空の国に錯覚されてしまいそうな西夏ですが、レッキとした史実の国です。
ツォグ族はなにかモデルがあるのかもしれませんが、恐らく架空の部族です(^^;
もっとも、遊牧民族の部族名など、記録に残らなかったものがゴマンとあったでしょうが、、、ゴニョゴニョ。
実は、西夏という国はあたしの好きな国の一つです(^^*
歴史上、中華帝国の周辺には、漢族と抗争を繰り広げつつ、独自の文化を保ち、そして滅んでいった国がたくさんあります。
西夏はその中でも短命な王朝ではありますが、西夏文字という強烈な個性の文字を作り出したことで、あたしの胸に強い印象を残している国なのでした。

日本人は、中華文明に対する限りない憧憬を胸に漢字をそのまま受け入れて使ってきましたが、西夏は、あえて漢字を排してオリジナルの文字をつくり、そこには漢族への対抗心をたっぷりと盛り込んだところがあたしをムネアツにさせるのでした。
※「虫」という字と「小さい」という字を合体させると「漢」という字になる、、、なんてあたり、西夏の漢族に対する大人げないくらいの民族意識を感じますネ。

話が脱線しましたが、、、本作でも西夏文字は物語を支える巨大な柱として登場します。
s16.jpg
ツォグ族の皇子ユルール。彼は、生後まもなく実の母を失い、政略結婚でツォグ族の族長に輿入れした西夏人の継母に育てられました。
勇壮ではあるものの、文字を持たぬ草原の民の生活に満たされなかった彼は、馬や弓よりも育ての母の国の文字に限りない愛情を注ぐ少年に成長します。

しかし、ツォグ族は北方の諸部族を束ねあげたモンゴル族に恭順し、西夏攻略の尖兵として西夏領への侵攻を開始。
彼は、西夏の街が破壊され、書物が焼かれていく様に心を痛めます。

s17.jpg
ハラバルとユルール。
この二人の兄弟の血脈の違いと宿命は、話数が進むに連れてより鮮烈に。
さすが伊藤先生、仕込みは上々ですネ!

西夏人との混血でありながら、ツォグ族の戦士として対西夏戦の先陣をつとめる異母兄のハラバルとの板ばさみの感情に苦しみつつ、彼は、滅び行く西夏の首都から西夏文字の字典を奪って、いずこかへ落ちのびることを計画します。

皇子による秘密の裏切り行為。
・・・が、ひとりそれを察知した継母の従者だった西夏人ボルドゥは、逐電寸前のユルールを天幕に招き、重大な秘密を彼に告げます。
西夏の最も尊い字典がツォグ族の中に秘匿されている―――――と。
s18.jpg

オノレの信念のため、西夏軍から離脱して復讐の放浪を始めたシュトヘル。
同様に、敵国の文字を惜しみ、皇子でありながら自らの部族から出奔して、貴重な字典と共に逃避行を開始したユルール。

約800年前の世界に生きたこの二人と、現代の高校生、スドーくんとスズキさん。
最新巻まで読んでみても、スドーくんとスズキさんの存在価値が未だよくわからないあたしですが!w(だって、シュトヘルとユルールの物語だけでも骨太すぎるだもの!)、この先、800年の時間を越えての伏線がどう結びつくのが楽しみです。

過去に紹介した、「将国のアルタイル」に似た印象を持つかもしれませんが、「シュトヘル」の方がよりキャラクターに肉薄した描写が光りますネ。ダイナミックなバイオレンスが「シュトヘル」の魅力の一つだと思います。
あたしにとっては、どちらも甲乙つけがたいお気に入りなのですが、どちらもまた読むヒトによって好き嫌いが激しく分かれそうな気はします(^^;
ただ、似ていると思うところは、
どちらも最初の1~2巻を読んだだけではダメ
で、5巻あたりから読み手も描き手と同じウェーブに乗っかることができて、俄然、面白くなってくると思うのです。

心とお金に余裕があるヒトには、ぜひぜひ一読をおススメしたいですネ^^

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自己紹介:
生まれは北海道。親の転勤によって道内のほか、東京、千葉のあちこちを引越ししたため、「故郷」という感覚が希薄な根無し草人生。現在は神奈川在住。
小さいときから本と映像作品の虫。徹底的インドア派。
今も映画・アニメ・マンガ・PCは大好き。歴史・SF・メカ・生物・ミリタリーなど全般に光速の食いつきをみせる。

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